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概要

chiisanamachi

12きである。福山駅からバスで鞆に着いたとき、ガラス窓を通して「海の風景がなんて美しいんだろう」と思った。弁天島と仙酔島の風景は、万葉の時代から歌に詠まれたというだけあって、人をひきつけるものがあった。朝鮮通信使の接待の場であった福善寺の対潮楼からの眺めはまた格別である。町並みは懐かしさが漂っていた。サヨリの立ち売り、アナゴを道端で焼いて売っていたり、四ツ辻ではおばあさんが魚屋をはじめていた。道行く人に声をかければ、気軽に話がはずんでしまう。港町はもともと外からの人や文化を受け入れやすいと聞いていたが、鞆にも人と接する気安さが感じられた。街路はヒュ-マンスケ-ルで、D/Hの断面と家並みの連続性が心地よい。しかし車の通過は2台がすれ違うにはどちらかが譲らなければ困難な場所が多く、運転手にとって不便さは否めないだろうと思われた。四ツ辻で魚屋を開くおばあさん