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概要

chiisanamachi

129もうひとつは、東御所に残る外堀川・内屋敷・東外屋敷・的場・馬場などの地名から、城下町の中心を東御所とし、西御所は多少町場化していたのを城下町の一角に組み入れて商業地域とした説である。●寺内町は門前町か城下町か寺内町(じないちょう)は静岡県には馴染みが薄い。分布が近畿・北陸に限られているからである。寺内町とは、中世末期、戦国時代に浄土真宗の寺院を中心に形成された都市である。優れた歴史的町並みとしてよく知られる今井町※1、富田林※2は寺内町を起源とする。寺内町を門前町とセットにしてとらえ、封建都市・宗教都市の一環として位置づける見方がある。寺内町は門前町と同種のものだとする考え方である。しかし寺内町の宗教的意味は希薄であるという指摘もある。宗教自体が人を吸引する原動力になっている門前町とは根本的な差異があり、むしろ形態上、城下町との関連を重視すべきだとするもう一方の考え方である。*3また、城下町と門前町の両方の特色を併有するとか、城下町の原型とみなしたりする見解もある。寺内町は戦国乱世の時代に、公権力の介入を排除して、深い人間的共感によって平和な都市生活を展開していたことに注目する西川幸治京大名誉教授の指摘が興味深い。西川氏は寺内町と城下町の差異を明確に論じ※1 いまいちょう:奈良県橿原市今井町。称念寺を中心とする寺内町。平成5年12月8日「重要伝統的建造物群保存地区」に選定(17.4ha)。※2 とんだばやし:大阪府富田林市富田林町。興正寺を中心とする寺内町。平成9年10月31日「重要伝統的建造物群保存地区」に選定(11.2ha)。※3 参考文献1)の町並み分類において、A信仰町として1門前町、2寺内町としており、寺内町を門前町と同類型に扱っている。参考文献2)においては、寺内町は城下町との関連を重視すべきだとする考え方に立っている。