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概要

chiisanamachi

137いう感謝の気持ちにあふれている。良いものは良さがあるから残っている、だから手入れし続けるべきだという思いである。ふたつ目は「町家はかっこいい、粋な生活ができる」ということ。日本の住宅建築は暗くて寒くて不便だと酷評される。これは高度経済成長に踊らされた団塊の世代が、前近代の象徴として酷評をつくってきたのではないかと鋭く指摘する。今、若い世代には伝統に対する渇望があり、谷崎潤一郎のいう陰翳礼賛が新鮮な驚きをもって迎え入れられている。暗い部屋に障子の光がぱっとさし込むとか、そういう粋な生活が町家にはあるのだという。みっつ目は「絆がもてる」ということ。それは家族の絆であり、地域の絆である。玄関の横に8畳の間があって、水曜には生協で共同購入したものを分配するため近所のおばちゃんがいっぱい集まってくる。個人の私的な空間でありながら、協働空間でもあり、集会所的な面ももっている。 (次ページへ続く)【参考文献】1)吉田桂二『日本の町並み探求 伝統・保存とまちづくり』彰国社1988年12月2)『寺内町の研究』第一巻 戦国社会と寺内町 監修:峰岸純夫・脇田修編集:大澤研一・仁木宏 1998年10月 法蔵館3)西川幸治『日本都市史研究』日本放送出版協会 1972年4)樋口忠彦『日本の景観 ふるさとの原型』春秋社 1980年10月5)『第26回全国町並みゼミかしはら・今井大会 報告書~再び!!町並みはみんなのもの』NPO法人全国町並み保存連盟 2004年10月※第26回全国町並みゼミは、2003年9月19~21日に開催された。中井将一郎氏は第12分科会「町家(まちや)今昔物語」のパネリストを務めた