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概要

chiisanamachi

139座敷に家族みんなが集まって食事をする。ふだんは有効に使っていない空間で絆が深められるのである。これは非常に贅沢な生活ではないか。よっつ目は「ついでに町おこしができたらええなあ」ということ。「毎日やったら大変やけど、たまにやったら、うちを見にきてはることでおばあちゃんも元気やし、みんな誉めてくれるし、うちってやっぱすごいんちゃうか」と思ってしまうという。そういう家の中からふるさとに対する誇りをもてるようになってきた。まちの誇りを取り戻すというのは、身近なささいなところから広がっていくのである。御所まちは、寺内町と城下町の2つのまちが同時期に計画されたため、重合するまち構造となり、その成立基盤が現在も明確に存在している。加えて、築100年、200年の重厚な民家が数多く残り、地域や家族の絆をつなぐ生活が営まれている。これらの町家をまちの誇りにしていこうとする地道な活動が展開されているのである。●寺内町の北限地・井波と城端15世紀後半から16世紀末まで、すなわち蓮如※1が寺を核に自治都市を形成していった時期から、織田信長が一向宗(浄土真宗)を壊滅させる※2までの約100年間が、寺内町の宗教的連帯感による運命共同体として機能していた時代である。この寺内町百年の歴史の中で、御所は円照寺の創建が天文5年(1546)といわれることから成立は新しく、スケ-ルも小規模なものであった。