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概要

chiisanamachi

153●文士たちが集うまち坂と小路が入り乱れるこのまちを愛し、明治・大正のころ、多くの文士たちが集まり、ここに住み創作を行い作品の舞台として神楽坂を描き、多彩な足跡を残した。尾崎紅葉、永井荷風、泉鏡花、夏目漱石、田山花袋、北原白秋、有島武郎らである。見かえり横丁に建つ「和可菜」は“ホン書き旅館”といわれ、その住人として野坂昭如、山田洋次、内館牧子、今井正、伊集院静、早坂暁など今も活躍する小説家、脚本家が逗留していたという。●三層の人々がかもしだす風情中世末に起源を有する神楽坂は、明治・大正のころ芸者は100人を超え一番にぎわっていた。花柳界の存在もまた、神楽坂で忘れてはならないまちの魅力の要素となっていた。お座敷のかかった芸者衆の艶姿や真打の歌声がまちの雰囲気を伝えていったにちがいない※2。一時期まちの勢いが減退したが、いま神楽坂がにぎわい出したのは、まちの歴史から醸し出される独特の雰囲気があるからだ。商店・飲食街、学生街、ビジネス街という三層の人々が混在する生活臭が、まちの風情となっているのである。※2 石川啄木が北原白秋の家を訪ねた日の日記 明治41年10月29日「北原君から転居のハガキ。一円借りて新居を訪う。二階の書斎の前に物理学校(現東京理科大学)の白い建物。ガスがついて窓が蒼い。それはそれは気持ちのよい色だ。そして物理の講義の声が、琴や三味線とともに聞こえる・・・」【参考文献】『地域開発ニュ-ス』No.283「古き良き風情漂うスロ-シティ“神楽坂”発行・東京電力 2004年10月