ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

chiisanamachi

159一方で、鉄道の開通は西条のまちの歴史的基盤を分断する行為でもあった。鉄道路線が宿場町としての居住域の北に位置する神社、寺という生活の営みと深く関係する神聖空間域を、居住域から分断する結果になったのである。西条の地域コミュニティは3つの神社によって構成されてきたが、鉄道線路の出現が空間の連続性をいとも簡単に断ち切ってしまった。●都計道路と区画整理で「まちの呼吸」はそれでも西条の町並みは、街道の東が造り酒屋の屋敷と酒蔵の豪壮な景観、西が町家や路地など宿場町の面影を残している。赤褐色の屋根瓦※2と漆喰の白壁が西条のまちを特徴付けている。現在、JR西条駅から広島大学を結ぶ幅員38mの“ブ-ルバ-ル”と呼ぶ都市計画道路を含む西条駅前土地区画整理事業(7.6ha)が進行中であ1999年土蔵の壁は変わっていないが、路地は舗装され、側溝も整備されている。※2 この赤瓦を土地の人は「あぶら瓦、又は来待瓦」と呼んでいる。この地方で生産されるもので、盆地の寒暖の差が激しい気候に対して、瓦内部に水分を吸収しないように冷害に強くしたものである。明治時代に石州瓦(島根県)の職人が移り住んで瓦製造の技術を広めたといわれている。