ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

chiisanamachi

212北のものと東西のものは、集落の発展形の表われではないのだろうか。集落の成立・拡大と関係がありはしないかということである。あるいは建設された年代に関係があるとも考えられる。また本家・分家との関係があるとも考えられる。在原には社寺建築関係の9つの区有文書が残されている。そのなかに享和3年(1803)の出火届書がある。「東の大焼け」といわれる大火があり、竜田川以東の地区の民家のほとんどが焼失したと記されている。川の東側の民家の建て方は、大火からの復興を契機として母屋の建て替えが自由になされた結果とも推定される。そうすると、川の西側のように、南北の棟方向の民家が一定して建ち並んでいた姿が在原の民家群の原形であるといえるかも知れない※4。●固有の価値の認識と共有人々が暮らしている場所のかたちには必ず背景があり根拠がある。積み重ねられた生活と深い関連があるはずなのである。それらを明らかにすることが、住み続ける人たちの生活を見つめ直すことにつながっていく。それが在原の固有価値であ※4 昭和60年度に伝統的建造物群保存対策調査が実施されているが、茅葺き民家の平面・立面の分析に終始しており、集落の全体構成・立地環境や集落自体の形態構造、歴史的変遷の考察がなされていない。流れる水の音と露わになった土の部分が春の訪れを感じさせる。