ブックタイトルchiisanamachi
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chiisanamachi
3はじめに人々が生活の営みを続け、生活の場を積み重ねてきたところには、歴史があり、その場所にしかない個性がある。日本にはまだ知られていない個性のある小さな町がたくさん存在する。これらの町を23箇所、めぐってみたいと思う。あなたにとって町の名前は知っているけれど、まだ歩いたことがない町もあれば、初めて耳にする町もあるかも知れない。そこには思いがけない事実が隠されているにちがいない。これは、それらを白日にさらす旅なのである。実は、本書は2003年2月から2007年1月までの4年間、『建築静岡』(静岡県建築士会の機関誌)に隔月に連載し書き綴ったものである。6年から10年が経っているが、まだ色あせてはいないと感じている。町の個性には普遍性があるということか。しかし、失われた建築や変容した町の様子があることも否めない。様相が大きく変化した町には、多少の追記をしている。時代の波に抗う町の姿、あるいは世間の刺激に反応する町の姿を追体験するように、読みすすめることがことができるのではないだろうか。