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概要

chiisanamachi

32この日は「日本土人会」の例会があり、それに参加してよいというので齊木先生に連れて行かれたのだった。齊木先生はその5月まで香山研究室の研究生だったが、6月から筑波大学の文部技官に採用され、4月にできたばかりの学際的な大学院である環境科学研究科※4の一番若い先生として赴任されたのだった。私はと言えば、九州芸術工科大学※5から当研究科に合格して2年間の修士課程を過ごすことになっていた。私の卒業論文が『都市における「土」と人間とのかかわり合いに関する考察』※6であったことから、日本土人会への※2 現在84歳。大正7(1918)年7月7日生まれ・平成7年7月7日に77歳の誕生日を迎えられ、午前7時7分に盛大にお祝いされた。※3 1937(昭和12)東京都生まれ。弱冠30歳で九州芸術工科大学キャンパスを計画・設計。昭和43年開学と同時に九芸工大助教授、昭和46年東大助教授に帰任。私が九芸工大に入学したのは昭和47年なので同時に在学したことはないが、数回の集中講義を受けた。※4 筑波大学大学院環境科学研究科は、1977年4月に設立された学部をもたない大学院である。「学部をもたない」とは、通常、例えば工学部建築学科の大学院は工学研究科建築学専攻となるが、環境科学研究科はル-ツがない。従って、さまざまな大学の学部卒業生あるいは社会人が入学した。文系の法学、地理学、哲学や理系の化学、電子などさまざまな専門をもつ学生により構成された。1期生は60名だった。※5 環境・工業・画像・音響の各設計学科で構成される。1学科30名、1学年120名、全学480名の小さな大学である。開学35周年を迎えるが、2003年10月1日をもって九州大学と統合され、九州大学芸術工学部となる。※6 福岡市の一番の繁華街・天神を中心として、住宅地の3つの発展方向を示すY字軸上に9箇所の地区無(100m×100m)を選定し、地区内の舗装されていない「土」の部分をくまなく調査した。調査地区において公用地の土の部分、私用地の土の部分をそれぞれ公土率、私土率とよび、調査地区の比較によって住宅地における舗装化の誘因と住環境整備における土と人間の関係を分析したものである。