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概要

chiisanamachi

45わけでなく、また親戚がいたわけでもなかったから、出会う人、見るもの、すべて初めてのことばかりだった。だから、一番心がけたのは人と知り合うことだった。職場の人々を覚えることはもちろんだが、時間外でも誘われれば気持ちよくどこへでも出かけていって、いろんな人に出会う機会に心を使った。職場外では、SBSの英会話講座に足を運び、教養と人間関係を広げるという一石二鳥をねらった。おかげで最初の3年間で多くの人に出会い、多くの知己を得た。そのなかでも行政の実践の最前線で活躍していた人たちが集まって会をつくった「人間居住社会研究会」の面々は、私に静岡県で生きていくことの決断を確かなものにさせていった。・日野陽充さんのこと日野陽充氏※2は、都市住宅部建築課の調整係長だった。私は最初の3年間を同じ建築課の査察係(1年)と企画宅造係(2年)にいたから、直属の上司ではなかったが、何かと目をつけていただいた。県職員の自主研究活動に助成する制度が昭和54年度からはじまり、日野さんを中心に会がつくられようとしていた。県庁入りたての私に、日野さんは会の名称や調査研究の進め方についてトクトクと話をされた。その中で名称についてだけ私は異を唱えた。日野さんから最初に出た会の名称は「都市問題研究会」だった。しかし、問題を明らかにして対応策を練るという後手後手のアプロ-チは、これからの時代にふさわしくないのではないか、※2 日野陽充(ひの・はるみち)氏は平成15年3月末で静岡県を退職された。