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概要

chiisanamachi

53〈コラム〉 日本の下水道はなぜ立ち遅れたか ※8柴田氏は、日本の都市における下水道建設立ち遅れの原因を5つ指摘している。1)下水道より上水道に優位が与えられたこと。下水道がなくても高台にある住宅地は被害をすぐ起こさないが、上水道が不備で水源が汚染されると汚れた水が市民に供給されてしまうため、下水道は後まわし、上水道の整備に全力が注がれた。2)都市と農村との関係日本の多肥型農業において、人肥は江戸時代以来有価物として貴重品視され、都会の便所を貯糞式とさせ、そのため下水道による水洗化への要求が出されなかった。3)労働力が農村から安価かつ豊富に供給されたため、労働者やその家族の価値が低く、チャドウィックが計算したような労働力価値の損失額とならず、下水道といった彼らのための環境施設は省みられなかった。4)下水道の財政問題5)伝染病に対する日本医学の発展のあり方:決定的に重要本文で述べた通りである。森鴎外がドイツに留学中(明治17-21)先進医学界の潮流に一つの変化が起こっていた。すなわち、それまでは公衆衛生を重んじるペッテンコ-ファ-が主流だったが、コッホやパスツ-ルの細菌学が主流を占めていった。コッホに師事し、破傷風菌やジフテリヤ血清に世界的業績をあげた北里柴三郎、明治31年に赤痢菌を発見した志賀潔、同年ペスト菌を発見した野口英世など、世界に誇るべき業績があった。たのである。ガスはすでに管が地中化されていた。これに対して電線は架空できるが、それでは安くつきすぎて競争条件が公正ではない。そこで電気法が制定され架空線が禁止されたのである。景観保全の意識はあったかもしれないが、あくまでも地中化は経済競争の公正さを確保することに重心があった。