ブックタイトルchiisanamachi
- ページ
- 55/222
このページは chiisanamachi の電子ブックに掲載されている55ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは chiisanamachi の電子ブックに掲載されている55ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
chiisanamachi
55ガス・下水は地中に配するが、電線まで地中化するという構想はなかった。そのうえ先の大戦で都市部が焼け野原となったため、電線の架空が既定のものとなった。電力の安定供給を低コストで実現することが緊急の課題となり、まず電柱を立て、架空線で電気を引くことが求められたのである。ここでアメリカと同じく架空の裸線が問題視されたが、アメリカとは半世紀ずれていたため、日本では電線を被覆する技術がすでに開発されていた。安全を重視したとしても地中化には向かわなかった理由がここにある。「安い」電気の「安定供給」が戦後日本の至上命題だったのである。下水道も電信柱も結局のところ、「安価」な方を安易に選択したことが日本の現実になっていることである。さらに重要なことは、医学や科学技術の進歩が生活レベルを超えていた※9、ということである。本来あるべき人間生活の大切さを思わずにいられない。※9 日本の場合、生活環境はまだまだ不完全で整備すべき多くの課題をかかえていたにもかかわらず、技術の進歩が、安く早い方法の選択を容認したのである。欧米では、生活環境の整備レベルが技術レベルと同時進行だったといえる。