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概要

chiisanamachi

65校の教室ほどの広間となっており、かつてここで結婚式やお祝いの会なども行われ、地域の人々のコミュニティの場としても機能していた※7。「黒石の町の人たちは、火消組の人だけでなく多くの人がここに集まって心と心をつなげ合い、お互いに尊敬し合い、人間を大切にし合い、火を大切にし合ってきた」※8のである。黒石の火の見櫓は、地域の生活の中で活かされ生き続けてきた建築物であり、「こみせ」同様、黒石の誇れるものである。「こみせ」が〈公有私用〉なら、火の見櫓は〈公有公用〉の公共施設であるから、黒石の貴重な財産として今後も活用され、まちのシンボルとして生き続けていくことだろう。●機能がなくなれば撤去でいいのかしかし静岡県の火の見櫓は鉄骨造※9であり、本来の機能がなくなり使用されなくなると錆びて老朽化が著しく進むことになる。火の見櫓を所管する静岡県防災局消防室は、老朽化して危険な火の見櫓は地震対策上好ましくないから撤去すべきであるという見解である。地域の人たちの手によって維持保全されなくなった火の見櫓は、やがて解体されていく可能性が強い。ここで考えてほしいことは、機能がなくなったからといって短絡に壊してしまっていいのか、ということである。小さくなって着れなくなった服、動かなくなった時計、書けなくなった万年筆・・・・でも初めてのデ-トに着ていった、亡き父が使っていた、大学※7 サミット交流会の2次会は甲徳兵衛町の火の見櫓で行われた。いや3次会だったかも知れない。なにしろ交流会の後、場所を変え6次会まで延々と続いたのだった。※8 『津軽・黒石 火の見やぐら物語』鈴木喜代春・著 網代守男・写真 平成13(2001)年8月 火の見櫓研究会・発行※9 青森県にも鉄骨造の火の見櫓は存在する。弘前から青森空港への途中、バスの車窓から鉄骨造の火の見櫓を5基見つけた。調査はされていないようだが、青森県内にも相当数存在すると考えられる。