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概要

chiisanamachi

76うかという問題である。新しい生命体として融合し機能していくには、一つ一つの細胞が生き続けていくかどうかにかかっている。細胞とは、人々が日々暮らしている基本的な生活単位のことである。市町村は身近な生活単位の集合体である。小さな生活単位の集合が一つの自治体を形成している※6。これは合併してもしなくても変わらない重要なことである。人々が日々暮らしていく身近な生活の単位、すなわちコミュニティこそ大切なことである。そのコミュニティが変質し新しい形でさまざまに生まれてきている※7。●身近な生活単位と多重コミュニティ江戸時代に培われた日本の伝統的な共同体は、都市においてはほぼ解体した。封建社会の厳しい社会的・経済的制約に対して、結(ゆい)、ムラ、町内、市場などの自治組織で自らの地域を運営していった文化や蓄積は徐々に消滅していった。しかし地方においては、火の見櫓の存在にも見※6 群馬県の小寺弘之知事は1999年3月9日付け「朝日新聞」論壇に投稿し「小学校を住民の『自治区』に」を提言している。「飛行機で行動する区域が国であり、自動車で動く区域が都道府県であり、自転車で用を足せる区域が市町村ではないかと思う。さらに、歩いて生活するコミュニティがある。この小さな区域に『小さな政治』が必要なのだが、今の日本にはそれがない。よい政治が育つには、これくらいの小さな単位での自治意識が土壌として必要なのである。」と論じている。ここで言う小さな生活単位は、さらに小さな「火の見櫓」をもつ単位を想定している。※7 PTA組織、企業内(社縁・職縁)コミュニティ、商工会、まちづくり協議会、NPO活動組織、これらが相互に関係するネットワ-ク・コミュニティ等々。