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概要

chiisanamachi

91ろうか。<コラム> 山岳都市 ※9 「山岳都市」という固有名詞に初めて出会ったのは、もう30年前の学生時代、西山卯三(1911-1994)の著作からである。西山卯三著作集3『地域空間論』(1968年12月・功草書房)第10章に収められている。西山は昭和21年(1946)6月『新建築』復刊3+4号に「新しき国土建設」と題して3篇の論文を掲載した。そのうちの一つが「山岳都市論」である。都市の建設に日本の国土の大部分を占める急傾斜地域を利用せよという提案であった。西山自身が、「戦争中、おりおり考えていたことを急にとりまとめて書いたので、素朴・単純で一面的な見方しかしていない」と述懐しているが、市街地が無秩序に拡大しスプロ-ル現象がさまざまな問題を引き起こしていた時代に出会った論考は、私にとってすこぶる新鮮であった。筑波大学の院生時代、建築学会大会で氏に初めてお目にかかり、鋭い眼光で「君はヨワイ!」と、心を見透かされたような言葉をいただいた氏への畏怖と敬意を込めて、「山岳都市」を今回の標題に採用した。